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あんじゅうこん
安重根
谷 譲次
――十四の場面――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页
不服を唱えておりました。のみならず、千八百九十七年にいたりまして、またもや七カ条の協約というものが締結されましたが、これも先の五カ条と同様、韓国皇帝陛下が親ら玉璽を※(「金+今」、第3水準1-93-5)せられたのではなく、また韓国の総理大臣が同意したものでもない。じつに伊藤統監が強いて圧迫をもって締結されたのであります。
聴衆は無関心に、じっとしている。眠っている者もある。
安重根 でありますから、この条約に対して、韓国人はことごとくこれを否認し、ついには憤激のあまり――。
若い女が頭に水甕を載せて出て来る。地面に胡座をかいている青年一が呼び停める。
青年一 水か。待ってた。飲ましてくれ。
女 冗談じゃないよ。お炊事に使うんだから。
青年一 咽喉が乾いて焼けつきそうなんだ。
女 勝手に井戸へ行って飲んで来たらいいじゃないの。
青年一 ちっ! 面倒くせえや。わざわざ起って行くくらいなら我慢すらあ。
傍らから青年二が女の甕を奪って飲みはじめる。女は争う。
女 いけないったら、いけないよ、あらあら! こぼして――。
青年二 因業なこと言うなよ。新しいの汲んで来てやったら文句はないだろう。