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あんじゅうこん

安重根

谷 譲次

――十四の場面――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页

青空文庫

同志一、二の一団はストウブを取り巻き、黄成鎬は離れた卓子に腰かけて他の青年らと話し込んでいる。青年らはテンポの速い会話で、がやがや言っているように聞こえる。

青年A (一隅から)韓国を踏台にして満洲へ伸びようとする日本の野心は、誰に指摘されなくたってわかっているんだ。

青年B (他の側から)おい、そう言えば、今度伊藤が来るのも、ハルビン寛城子間の東清鉄道を買収するためだと言うじゃないか。

青年C (起ち上って)今でさえ日本は、満洲から露領へかけてのさばり返っている。そんなことになろうものなら、俺たちの運動はいったいどうなるというんだ。

黄成鎬 (前からのつづきで周囲の青年達へ)なるほど私は学問はない。が、こうして独立党の方々にお近づきを願って、八道義兵総指揮官金斗星先生にまで、黄さん黄さんと友達づきあいにされている身だし、お前さん方をはじめ党の若い人たちも、なあにウラジオへ行きゃあ黄成鎬のおやじがいるというんで、皆さんここで草鞋を脱いで下さるから、まあ、そんなこんなでこの数年、だいぶ独立党員の面倒を見て来たつもりだが、私はいつも言っていますよ。見てろ、あの安重根という人は今に何かでっかいことをやっつけるぞ――。