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あんじゅうこん
安重根
谷 譲次
――十四の場面――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页
同志一 安君! 安重根君!
いま出て行った青年Fらとともに禹徳淳と白基竜が下手の窓外を通り、すぐにドアからはいって来る。
同志二 (失望して)何だ、安重根じゃないのか。
禹徳淳 (昂然と)コレア・ウラア! やあ、みんな揃ってるな。
一同はがやがやはいって来て元の位置に戻る。白基竜は悄然と隅の腰掛けにつき、卓子に俯伏す。
同志一 (禹徳淳へ)いったい安重根さんはどうしたんです。どこにいるんです。
禹徳淳 (ストウブへ進んで)もうストウブが出ているのか。こりゃあ気がきいてる。まったく、夜そとを歩いていると、海から吹いて来る風で頬っぺたが切れそうだからなあ。(気がついて)だが、火のないストウブじゃあしようがない。
黄成鎬 徳淳さん、安さんはまだ見っかりませんかね。皆さんこうしてお待ちかねだが――。
上手、別室のドアがあいて、「ちょいと。」と黄成鎬を呼ぶ妻黄瑞露の声がする。
ドアの前の青年 (振り返って)おやじさんかい。(黄成鎬へ)おい、おかみさんが呼んでるぞ。
黄成鎬は起って別室へ入り、間もなく、何事か聞き取って承知したる顔で、そっと帰って来て、もとの卓子に腰かけている。