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あんじゅうこん

安重根

谷 譲次

――十四の場面――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页

青空文庫

禹徳淳、白基竜、黄成鎬、黄瑞露らは安重根を助けようとして八方停める、押し合う。椅子卓子が倒れ、皿小鉢は落ち、舞台一面に乱闘の観を呈する。

柳麗玉 (出て行って間もなく裏口から慌しく駈け込んでくる)憲兵ですよ! 憲兵ですよ!

露国憲兵五六人、佩剣を鳴らして裏口から走りこんでくる。

憲兵一 (大喝)何かあ、夜中に。

憲兵二 静かにしろっ! 騒ぐとぶっ放すぞ!

天井へ向けて二三発拳銃の空砲を放つ。一同は安重根、禹徳淳、白基竜、黄成鎬夫妻、柳麗玉を残し先を争って戸外へ逃げ去る。憲兵出現と同時に、黄成鎬は逸早く懐中からトランプを取り出して床に撒き散らしている。

憲兵二 空砲だ。空砲だ。あわてるな。

憲兵三 燈を点けろ、燈を!

点燈。青年らすべて退散したる明るい舞台に、家具食器など散乱し、格闘の跡。中央に安重根が俯臥して、柳麗玉はひざまずいて労わり、他はあるいは安重根の傍に、あるいは壁ぎわに狼狽して立っている。床一面にトランプが散らばり、裏口に寝巻姿の近所の男女数名が驚いた顔を覗かせている。

憲兵上官 (黄成鎬へ進んで)貴様か、ここの主人は。何だこの騒ぎは。どうしたんだ。

黄成鎬 はい。