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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

佐藤垢石『完本 たぬき汁』。同一底本的分册已合并为一书。收入:たぬき汁、『七面鳥』と『忘れ褌』、海豚と河豚、うむどん、縁談、議会見物、採峰徘菌愚、酒渇記、酒徒漂泊、すっぽん、増上寺物語、淡紫裳、探巣遅日、盗難、濁酒を恋う、にらみ鯛 、春宵因縁談、姫柚子の讃、美音会、みやこ鳥。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,158 字 · 273 页

青空文庫

そして、地上を這って行ってから子供に餌をやるのだ。だから、親の降りたところを中心として、一町か一町半のところを半径として、その近くの田圃を捜しまわるので、一つの巣を発見するのに三日も四日もかかることがあった。

親は、子供に餌をやって置いてまた直ぐ餌を捜しに出るのだが、必ずから手では飛び上がらない。子供がお尻からだした糞をくわえて出るのである。そこで、親が糞をくわえて何処から飛び出すかに注目するのであるけれど、これも巣から直接には飛び上がらないのだ。やはり一町か一町半ばかり地上を歩いて行って、糞をくわえたまま飛び上がり、そこで空中から糞を落とすのである。こんなわけで親の振る舞いを空に発見しても、一春にいくつもの巣を発見することができるものではない。

私の故郷は、上州の榛名山の麓で、長い山の裾が広く長く関東平野へ伸びゆくところの村である。麦田と桑畑が、はてもなく続いている。麦田の上を春の風がそよそよと吹いて、おだやかな容の榛名山が、遠く大霞を着て北の空に聳えていた。私は、蓮華草が紅い毛氈のように咲いた田へ、長々と寝そべりながら、ひねもす雲雀の行方を眺めていたことがあった。