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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
佐藤垢石『完本 たぬき汁』。同一底本的分册已合并为一书。收入:たぬき汁、『七面鳥』と『忘れ褌』、海豚と河豚、うむどん、縁談、議会見物、採峰徘菌愚、酒渇記、酒徒漂泊、すっぽん、増上寺物語、淡紫裳、探巣遅日、盗難、濁酒を恋う、にらみ鯛 、春宵因縁談、姫柚子の讃、美音会、みやこ鳥。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,158 字 · 273 页
私は歳上であるから一同に代わって爽やかに説明を試みた。
何だそんなことか、俺は博突うちが手入れに遭ったのかと思った、つまらねえ、と愚痴たらたら己が畑へ鍬をかついで帰って行くのもある。蜂の子は、うまかんべと言って愛想を言ってくれるのもある。
それはとにかくとして、何としてもきょうは大成功である。斜酣の得意思うべしだ。丘の上の路で仕度をして、帰途についた。電車のなかでも斜酣の話は、縷々として尽きない。きょうは諸君を初めての案内であったから、終日野山をかけめぐって只一つの巣を見つけただけであるけれど、調子がいいと一日に三つや四つ採るのはむずかしくない。
武蔵野方面も蜂の巣は少ないことはないのだが、地勢の関係上、大した期待は持てないのである。一番見込みの多いのが東京付近では、千葉県の小高い丘や野原がいいと思う、鴻之台は先年やってみて随分成績をあげた。しかしそれよりも、船橋から東京の京成電車の沿線にひろがっている林や芒原は、いまだ全く手がついていないから、いわば処女地だ。そこには必ず蜂の巣が、又か又かというほどあるだろう。
さらに、かつて鬼熊が出た方面の叢林へ行けば、ただ路傍を歩いていても発見できるに違いない。