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たからづかおいたちのき

宝塚漫筆

小林 一三

小林一三『宝塚漫筆』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宝塚生い立ちの記、東京宝塚劇場の再開に憶う、アーニイ・パイルの前に立ちて。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,995 字 · 53 页

青空文庫

老いの繰り言

私はいろいろの方面から「アーニイ・パイル」の感激に刺戟されつつ、それからそれへと、連想を逞しうしつつ、日比谷の交叉点に出たのである。交叉点の一角を占有している千四百余坪に上る空地に、私の計画した東宝文芸会館の構想は、今や青写真の残骸となって、書斎の一隅に永久に眠っている。

上野の公園における各種の展覧会や、図書館や、凡そこの種の文化的施設を、市井の中心地にあって市民の生活と密接に終始すべき理想により、この地を選んで新築せんとしたのである。日支事変のために、その計画を中止したのみならず、東京電灯に帰すべきその用地の大半は、航空会社に徴用され、辛うじて三角尖端の枢要地六百余坪を所有しえたるも、これまた戦局の進展とともに航空会社に包容せらるるにいたって、私の空想は一場の夢と化し終った。

その用地の境内に立って、日比谷公園から宮城方面の暮れゆく夏の夜の黒い樹木の上には、折柄片破れ月が澄みきった星空に光っている。右隣にそびゆる第一生命の白亜館が、浮き城のように巍然として輝いているのを見上げながら、ここが連合軍の司令部であり、わが国に平和を与えた救いの神マッカーサー元帥の事務所であることに敬意を表する。