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たからづかおいたちのき
宝塚漫筆
小林 一三
小林一三『宝塚漫筆』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宝塚生い立ちの記、東京宝塚劇場の再開に憶う、アーニイ・パイルの前に立ちて。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,995 字 · 53 页
しかし今日でも、一億円にはなっていないから、考えてみると安いものであった。今あんなものをつくったら、恐らく何十億かかるかもしれないと思うと、感慨の深いものがある。
「宝塚歌劇」の誕生
また私が宝塚歌劇をはじめるについて、いろいろ若い人の間には伝説のような話が伝わっているらしいが、前にも書いたように三越唱歌隊からヒントを得たものだ。しかしこんなこともあった。まだ宝塚歌劇を創めない前に、私は帝劇でオペラを見たことがある。三浦環や清水金太郎らが出ていて、演し物は「熊野」であった。ところが、それを見ながら観客はゲラゲラ笑っている。そのころの観客は大体芝居のセリフ、講談のセリフを聞きつけている人たちだから、『もォーしもォーし』といって奇声を発してやるのがおかしくてしようがない。だが見渡すと、それを笑わないで聞いている一団が三階席にいた。三階席の中央部にいた男女一団の学生達である。私は冷評悪罵にあつまる廊下の見物人をぬけて三階席に上って行った。みんな緊張して見ている。僕はそこへ行って、
『あなた方、これがおもしろいのですか』
と、聞くと、
『三浦さんはこうだ、清水金太郎はこうだ』