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かていとがくせい

家庭と学生

宮本 百合子

「三田新聞」1941(昭和16)年5月25日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,364 字 · 5 页

青空文庫

諭吉の「新女大学」はそういう世代の生活の新鮮なモラルの目醒めに呼びかけたものでもあったのだと思う。

今日学生生活はあらゆる面で再編成されていて、学生といえば苦労のない暢気な時代という概念は根柢から変って来ている。学生の二十四時間は、その第一時から第二十四時迄が、何かしら社会的な視線のもとにさらし出されているような感じになって来た。学生は、学生であるということで、自身の時間というものへの愛着を必要としないものとされて来ているようなところがある。未成年者として服すべき義務、受けるべき練成が、その対象としてあらわれていると思う。

家庭の中で、たとえて云えば妹が冗談に、あら、お兄さん、いいの? かけて――学生のくせに、と椅子の不足しているとき兄を睨む気軽さ愛らしさは、そのものとして天上的に邪気がなくても、今日の空気の何かを学生には感じさせるのではないだろうか。ちょいと気のつよい兄さんは、その妹に向ってこんなしっぺいがえしもするのではないだろうか。何しろ外じゃ立っているんだからね、せめてうちの中でぐらい権利があるよ。お前、かわれよ、と。

小さなこんなことでも、今日の青年の我知らず吐露している心理としてそこに注目するべき何かがある。