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ずいひつ よせばやし
寄席囃子 正岡容寄席随筆集
正岡 容
正岡容『寄席囃子 正岡容寄席随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:随筆 寄席囃子、艶色落語講談鑑賞、随筆 寄席風俗、寄席行灯、わが寄席青春録。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,259 字 · 222 页
もちろん、三味線も太鼓も入らない。狂馬楽はこれを師走の珍芸会の高座でくらいは演ったかもしれないが、まずまず平常は高座以外の、仲間との行住坐臥、もしくは冠婚葬祭の時にのみ、もっぱら力演これ務めたのである。
思い起こす大正末年の歳晩、柳家金語楼、当時新進のホヤホヤで神戸某劇場の有名会へ初登場のみぎり、一夜、同行の先輩柳家三語楼、昇龍斎貞丈、尺八の加藤渓水の諸家と福原某旗亭において慶祝の小宴を催したが、興至るやじつにしばしば畳叩いて三語楼と巨躯の貞丈は、※(歌記号、1-3-28)モリヨリヨーン、モリヨリヨーン…… と諷い出し、そのたび金語楼、あたかも活惚坊主がスネークのひと手を学び得たるかのごとき奇々怪々の演舞を示して、渓水翁と私とを笑殺せしめた。元すててこもへらへらも郭巨の釜掘りも大方が即興舞踊に端を発したるものとはいえ、それらのなんせんす舞踊には立派に曲もあり、振りもあり、よく一夕の観賞に値するのであるが、わがモリヨリヨンに至っては節もなければ、約束もない。その比喩のあまりにも突飛なるを許させられよ、もしそれ御一新に亡命せる江戸っ子の群れ、遠く南洋の島々へ落武者となって悠久の塒を定め、彼地の土人が即興の舞踊を具さに写したらんか、すなわちこれと思わるるほど、哀しくおかしい。