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ずいひつ よせばやし
寄席囃子 正岡容寄席随筆集
正岡 容
正岡容『寄席囃子 正岡容寄席随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:随筆 寄席囃子、艶色落語講談鑑賞、随筆 寄席風俗、寄席行灯、わが寄席青春録。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,259 字 · 222 页
に前書きされた、
トンカツを喰ふ江戸っ子が松魚とは
で、ひそかに苦笑せざるを得ない。
さて、物語は、我ら江戸っ子全体が「いけない」「できない」「落ちない」と正しく美しい発音を常としていた。もちろん御一新以前の、弓は袋に太刀は鞘、松風、枝を鳴らさなかった御代太平の昔である。
京橋鉄砲洲の西に松平遠江守の上屋敷があり、一日、そこの奥女中が言った。
「あのゥ、鉄漿が落ちて仕様がないんです。誰かに鉄漿の落ちない粉を買わせてきてくださいません?」
鉄漿とは、お歯黒。昔は、歯を黒く染めることが、女性の一つの身だしなみだったのだ。
※(歌記号、1-3-28)誰に見しょとて紅鉄漿つけて、みんな主への心中立て――と、長唄「道成寺」にもある。
「何買い物か、よゥし拙者まさに引き受け申したぞ」
すると、即座に引き受けてしまったのが、折あしく近頃お国表の尼ヶ崎から江戸詰になったばかりの奥役人。すなわち、「いかん」「できん」「落ちん」人種のパリパリだった。しかしまた彼のことにすると、底意地の悪い、オールドミス揃いの奥女中たちに睨まれては大変と思ったからだろう、さっそく走り使いの男を呼び寄せると、お国訛りもものものしく、