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てらだせんせいのついおく
寺田先生の追憶
中谷 宇吉郎
――大学卒業前後の思い出――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,152 字 · 26 页
それが実は地下の霜柱によることを、最近に確めることが出来たのである。
実は昨年札幌鉄道局に、凍上防止の委員会が出来て、私もその物理的方面を担当することになった。初め色々現象をきいて見ると、霜柱と類似の点が多いので、それならば余り縁のないことでもないと思って引き受けたのであるが、現場の発掘と低温室内での実験の結果とから、それがやはり地下の霜柱に起因することが分った。私は二十年前の実験室内の光景を心に描いて、先生の着眼のほどを思いみると同時に、或る種の因縁のようなものを感じた。
霜柱の隣では、HM君が熱電気に関する特殊な現象を調べていた。この方は調べるというよりも探していたと言った方が良いので、最後の目指すところは、地球磁気の根源をとらえようという話であった。とんでもない大問題を学生の卒業実験に課されたものであるが、先生の説明をきくとよく納得された。
地球がどうして磁気を持っているかという原因については、色々な説が出ているが、結局のところは分っていない。それで先生は、地球内部が高温になっているために、熱は始終中心から地球表面に向って流れている。それと地球の自転の影響とで、何か熱電流のような現象が起き、大体緯度線に沿って電流が流れて磁気を生じているのではなかろうかと思いつかれたのだそうである。