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ちいさきいえのせいかつ
小さき家の生活
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房、1953(昭和28)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,540 字 · 18 页
真個に、我々が生きて行く世界は其那浅薄なものではないのだ、と断言した。が、母上は、我々の突然な結婚によって受けた苦痛、恥辱の感、それを如何うして償うかと云うことを根拠として、強く、彼女の意見に執されるのだ。
我々にとっても、彼女にとっても、恐らく家族全部にとって、一九二〇年の春は重苦しく、辛いものであった。
私は、母上の心情にも同情し、理解したが、同時に、至純な、親と云うものの概念に恐ろしい汚点をつけられた。自分は、彼等を何だと思って居たのか、とさえ思った。彼女自身は、自分の愛は、親の愛であるが故に尊く浄く、且つ正当なものであると信じて居られるだろう。然し、実際はどうだ。私の為、私の為と云い、思い乍ら、つまり我意を拡張させようとする。自分が見る丈の世界でよしとするもののみを、我々の上に実現させようとされる。彼程、お前の愛す者なら、良人として何人も認めると云われはしても、若し、母上の撰択のみに従い、母上の批評にのみよって居たら、恐らく自分の一生は、単に彼女の誇るべきY子にのみ終始して仕舞うのだろうとさえ思った。
其時分、自分は、親の愛と云うものに極度の反感を抱いた。