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ちいさなねじ

小さなねじ

小川 未明

「台湾日日新報 夕刊」1941(昭和16)年6月6日、7日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,280 字 · 5 页

青空文庫

「白く、光っているのだね、じゃ、わかるだろう。」

それから、正二くんは、熱心にへやのすみずみまでさがしたのでありました。しかし、やはり見つかりませんでした。

「どこへいったろう。おかしいな。」と、正二くんは、いくら探しても見つからないねじを不思議がりました。

「これほど探してもなければいい。」と、おじいさんは、いわれました。

「ほんとうに、おかしいですね。とんだものなら、どこかにありそうなものですのに。」と、お母さんが、いわれました。

「ないはずはないんだがな。」と、正二くんも、だいぶさがしあぐんだ形です。

「こんな小さなねじでも、ないと眼鏡が役にたたぬ。使っているものは、平常そんなことを考えぬが。」と、おじいさんは、笑われました。

「ねじ一つの力も、大きいものでございますね。」

「ほんとうに、そうだよ。」

「たいていは、眼鏡の玉や、縁にばかり気を取られて、気のつかないねじのことなどを考えるものはありませんが……。」と、お母さんが、いわれました。

「だから、こうして、ときどきなくなると、その必要がわかって、いいことかもしれぬ。」

「おじいさん、ねじは、どこかへ入って、みんなが自分をさがして、大騒ぎをしているのを見て笑っているでしょうね。