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ちいさなくさとたいよう
小さな草と太陽
小川 未明
「赤い鳥」赤い鳥社、1920(大正9)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,414 字 · 5 页
一月ばかりの間に、どんなに草は大きくなったでしょう。そして、枝ものびて、つぼみもつけて、いまにも花を咲こうとしたのであります。
そのとき、太陽は、ふたたび屋根のあちらに隠れようとしました。草は、日のかげったのに驚いて、太陽を仰いで、
「お日さま、また、どこへかいってしまわれるのでございますか。」と、目をみはっていいました。
すると、太陽はいつに変わらぬ、にこやかな顔をして、
「もうおまえは、それでだいじょうぶだ。りっぱに花が咲いて、実を結ぶことができる。まだ北の方に、俺を待っているものがたくさんいる。」と、太陽はいいました。
「だが私は、あなたにお別れするのが悲しくてなりません。」と、草はいいました。
「そんなに悲しまなくてもいい。俺は南に帰るときに、もう一度おまえを見るだろう。」と、太陽は答えました。
その後、草ははたして、りっぱな花を咲きました。脊も、もっと高くのびて、青木よりも高くなりました。そして、葉もたくさんにしげりました。草は、内心大いに安堵していたのであります。もう、このくらい大きくなれば、太陽にすがらなくともいい、青木が冬の間我慢をしていたように、私も我慢のできないことはないと思いました。