轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
小出楢重『小出楢重随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:楢重雑筆、めでたき風景、油絵新技法、大切な雰囲気。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,351 字 · 657 页
その時、初秋に近い武蔵野は、すすきが白く空が北国までも見通せるくらいに澄み切っていて、妙にしんかんとして、その有様が来るべき冬のやり切れない物悲しさを想像させたのである。私は私の鼻についた温気の世界に後髪を引かれ、とうとうそのまま家探しをあきらめて帰ってしまったことさえあった。
春眠暁を覚えずとか何んとかいう言葉があるが、全く春の朝寝のぬくぬくとした寝床の温気は、実はこうしていられないのだと思いながらも這い出すことが容易でないのと同じように、大阪地方の温気に馴れた純粋の大阪人にとっては、何かの必要上、この土地を抜け出すことには随分未練が伴うようである。
大体温気は、悪くいえばものを腐らせ、退屈させ、あくびさせ、間のびさせ、物事をはっきりと考えることを邪魔臭がらせる傾きがあるものである。
大阪では、まあその辺のところで何分よろしく頼んますという風の言葉によって、かなり重大な事件が進められて行く様子がある。従って頗るあてにならない人物をついでながらに養成してしまうことが多い。よたな人物などいうものは関西の特産であるかも知れない。
しかしながら、このぬるま湯の温気が常に悪くばかり役立っているとは思えない。