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しょうもんだいだいもんだい
小問題大問題
佐々木 邦
「現代」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,957 字 · 23 页
「して見ると華族でなくて宜かったかな」
と至極円満な家庭だった。
しかし長い年月には多少険悪な雲行を見ないでもない。一両年前に津島君は一寸した不機嫌に委せて、
「あゝ、詰まらない/\。いつまでたっても平社員だ」
と歎息した。
「あなたは変な人ね。お酒を召上ると屹度不平を仰有るわ。平社員でも斯うして親子七人何不足なく暮して行ければ結構じゃありませんか?」
と細君は十数年の同棲でもう疾うに対等の権利を獲得しているから、思ったことは何でも口に出す。時には意見めいたことまでも言う。
「公私ともに面白くなければ稀には不平も出ようさ」
「それでヤケ酒を召上りますの? 先ず公の方から承わりましょう」
「十五年勤めて未だに平社員は腑甲斐ないじゃないか? 会社は人を遇する道を知らないから癪に障る」
「それはあなたが御無理ですわ。昇進には順番てものがございますからね。いくらあなたの腕が好くても、上の方が詰まっていれば仕方がないじゃありませんか?」
「それが待ち遠しいと言うんだ」
「でも、皆さんの上る時には屹度上げて戴いてるんですもの、何にも不平を仰有ることはありませんわ」
「お前なんかに何が分るものか。