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こばやしさんとわたしのツキアイ
小林さんと私のツキアイ
「小林秀雄全集 第八巻月報第七号」東京創元社、1951(昭和26)年3月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,871 字 · 4 页
女学校をでたての素人娘が三四人、このウィンザアではじめて女給という商売について我々にビールをついでくれたワケだが、それが今では初老に近い大姐さんになって、今も銀座裏のプーサンだのブーケというところでメートルをあげてらア。ムッちゃんなどという子がそれさ。
小林さんと私とのツキアイと云えば、そういうところで、酔っぱらッて、からんだり、からまれたりしていただけのことだ。特別のツキアイというものはなかった。いくらか印象に残っているのは、ウィンザアの横の道で小林さんと並んで立小便していて、小林さんだけ巡査につかまった。巡査が、お前は何をしていた、という。住所姓名を名のれ、という。何を云われても彼は答えない。そこで私が、この男は拙者の友達で二人は目下並んで立小便をしていたのだ、というと巡査はそうかと云って立ち去った。彼の頭髪ボウボウたる和服姿が左翼とまちがわれたのだろう。
また、私が越後の親戚へ法要に赴くとき、上野駅で彼に会った。彼は新潟高校へ講演に行くところであった。彼は珍しくハカマをはいていた。私は人のモーニングを借り着していたのである。
大宮から食堂車がひらいたので、二人で飲みはじめ、越後川口へつくまで、朝の九時から午後二時半まで、飲みつづけたね。