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こさかいふぼくしスケッチ
小酒井不木氏スケッチ
国枝 史郎
「新青年」1926(大正15)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,809 字 · 12 页
と、謙遜の辞を以て答えられる。この方面でもアマチュアを以て、自ら任じて居られるらしい。よし又それを持っているにしても、氏の人柄から推察すれば、詳説しないに相違無い。「押し付けがましい」と云うことを、極端に嫌う氏であるから。
専門の知識を平易に処理し、物語を作り研究物を編む、この氏の態度を次のように、私は形容したいと思う。
「病弱の氏は容易なことでは、書斎から街頭へは出て行かれないが、が其代り自分ぐるみ、書斎を街頭へ持ち出して行き知識の大道商売をする」と。
知識とか芸術とか云うようなものは、象牙の塔へ蔵することに由って、尊厳を保つものと解されている。或時代からの陋信ではあるが、尚今日もそんなように、解釈しているものがあるらしい。歴史的に研究をして見れば、そういう陋信に捉えられたことも、一応理と頷かれるものの、もう今日では通用しまい。にもかかわらば尚今日、所謂る知識の高踏派、所謂る芸術の高踏派が、蠢動しているのは、何うしたものだろう。知識や芸術というものは、大衆化すること――大道商売に由って、少くも高貴性を失うと、高踏派の徒が云うのなら私は押し切って進言する。