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しょうねんとあきのひ
少年と秋の日
小川 未明
「児童文学」1935(昭和10)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,765 字 · 6 页
「あれは、マンドリンだね。」と、正吉くんは、珍しそうにして、指しました。
「わたし、マンドリンひけてよ。こんどいらっしゃったら、きかしてあげるわ。」と、少女は、正吉くんの顔を見て、笑いました。
「あ、僕、もう家へ帰らなければ。」と、正吉くんは、急に、お母さんが迎えに出て、自分が見つからないので、案じていられる姿を目に浮かべたのです。
「今度、キャッチボールをしようね。」と、知らない子は、いいました。そしてまた、自転車のうしろに正吉くんを乗せて送ってくれました。雲の間の夕日は、赤かったのでした。
「僕、君を呼びにゆくときは、スパイクをはいてゆくから。」と、知らない子が、いいました。
その夜のことでした。
正吉くんは、ふと目をさますと、外のアスファルトの往来をカチ、カチと、スパイクの鉄を、石に打ちつける音がしました。
「あ、あの子がきた?」といって、飛び起きました。このようすを見た、お姉さんが、
「正ちゃん、いま時分、だれがくるものですか、耳のせいですよ。」といわれました。
「カチ、カチ、いうじゃないか! 姉さんには、きこえないの?」
「ほんとうだわ、見ましょうか?」