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しょうねんれんめい

少年連盟

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页

青空文庫

かれは眼を皿のようにして飛びおりる場所を発見しようとあせった。だが、星影まばらな光の下では、かっこうの場所はさがしうべくもない。

「だめかな」

一しゅんにして希望の岡から、失望の底につきおとさるる。ゴルドンの穏和な顔、モコウの白い歯、次郎の悲嘆にくるる顔、そしてなつかしい父母の顔、いろいろの顔が走馬燈のように明滅する。かすかに富士男を求めよぶおおぜいの声が、風に送られてきこえる。

「みんなは、悪漢どもが島に滞在していることを知らないのだ。凶悪無残な海蛇ら! かれらはどんな惨虐な行為を一同の上に加えるだろう、早く告げなければならない、どうあっても死なれない。おれは重大な責任をせおってるのだ」

こう思うと富士男は、心の底からぼつぜんとつきあげてくる力を感じた。

と、ただ一色の墨にぬりつぶされたような下界が切れて、ぽっかり一面に白いものがひろがった。

「ああ、水だ、助かるのはいまだ!」

水の深さも、岸への距離も、なにも考えるひまもなく、富士男はつりかごをけって身をおどらした。水煙がとびちって、富士男のからだは底深くしずんだ。湖はなにもなかったようにもとのしずかさにかえった、大きな波紋がゆっくりゆっくり、輪をひろげてゆくばかりである。