轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

びょうぶはたたまれた

屏風はたたまれた

山本 周五郎

「文藝春秋」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,953 字 · 24 页

青空文庫

うすれもしないし弱まりもしない。千夜の肌のあたたかみやまるみは、いまはなれたばかりのように、自分の肌でまざまざと感じることができるし、その喘ぎや囁きは、いま現に自分の耳のそばに聞えるようであった。

――向うがそのつもりなら、こっちで捜しだしてやろう。

弥十郎はそう思った。けれども手掛りがなにもない、手紙は町飛脚で届けられたし、茶屋はどちらも相手にならない。道で偶然に会いでもしない限り、捜しだす手掛りはまったくなかった。

正月中旬になって、北島とのはなしがまた出た。そのとき弥十郎は「まてよ」と思った。考えてみると、北島から祝言を延ばすように求めて来たのは、「ゆき」から三度めの手紙のあったすぐあとのことだ。そして、千夜の消息が絶えるとまもなく、こんどは祝言を早めたいといって来た。

「まてよ」と彼は呟いた、「これは偶然ではない、なにかあるぞ」

二つの関係にはなにかある。そう気づいたので、弥十郎は父にその話をした。父の居間で、二人だけで、聞き苦しい部分を避けて仔細に話しながら、どんな表情の変化をも見のがすまいと、父の顔をじっと見まもっていた。伊与二郎はなんの感動も示さなかった。