轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そううんきょうよりだいせつざんへ
層雲峡より大雪山へ
大町 桂月
「中央公論」1923(大正12)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,082 字 · 20 页
塩谷温泉より数町下りて、左の沢に入り込む。はじめの程は小さき平流なりしが、間もなく渓壑迫りて、薬研を立てたるようになり、瀑布連続す。水姓氏は四、五貫の荷物を負えるに、危険なる処に至れば、先んじて登攀して、後より来る者を引き上ぐ。余一行に尾す。急がずして余力を存し、かつ静かに風景を味う也。一瀑を登りしに、また一瀑あり。その間の渓流の中に、孤巌頭を出し、その巌尖に一蛇とぐろを巻く。在来多く蛇を見たれども、そのとぐろを巻けるを見るは、これが始じめて也。珍らしと見入りて、憐れに思いぬ。この蛇活きてはおるが、半死までの様子となりて、その身もいたく痩せたり。思うに薬研の壑中に陥りて、出るに出られず、食うに物なく、弱り果てて力なき身を渓流の中の膚寸の地に托するものなるべし。空しく死を待つよりは、今一度活路を求めて見よとて、杖にてとぐろを解きて、下の瀑に落しぬ。
渓流二つに分れて、右は狭けれども、水量多く、左は広けれども、水量少なく、傾斜急也。余心の中に右渓を取らざるべからずと思いながらも、一行の左渓を取れるに尾して行くに、果して絶壁に行きつまる。ともかくもと午食して右渓に下り、瀑また瀑を攀じ登りしに、終に十余丈の大瀑に行きつまる。