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やまのこんじゃく

山の今昔

木暮 理太郎

「山岳講座」1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,554 字 · 42 页

青空文庫

湯殿山、伊豆山などは其最も好適な例であろう。是等はもと古代民族が山若しくは温泉其物を神と崇めたものが、後に朝廷から神社として祀られ、名神大社にも列するようになったのである。

この山を神として崇めることは、中央亜細亜から支那西部に亙る山地の未開民の間には、今も行われている習俗で、ヒマーラヤ山脈の高峰であるエヴェレスト、カンチェンジュンガ、ナンダ・デヴィなど孰れも恐る可き神として信ぜられ、其登攀隊に随行した人夫が、昨夜はチョモルンモ(エヴェレスト)の番犬が吠えるのを聞いたと、隊員に語ったことなどが紀行に書かれている。ナンダ・デヴィは歓喜の女神の意である。支那四川省と西蔵との界に近きコンカ・リスムゴンバは、其地方に於ける聖山として巡礼者の群が絶えず其麓を巡礼し、其山が見られる峠という峠には必ず祭壇が設けられてあるという。丁度富士山の望まれる峠に浅間社が勧請されてあるのと同様で、唯富士山には山頂にお宮があるが、二万呎を超えているリスムゴンバには山頂にお宮のないことが異なっているのみである。西蔵の聖山カイラスは多数の印度教徒が巡礼するので名高い。キルギス土人間には殊に山岳崇拝が盛に行われているとの事である。