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やまのみりょく
山の魅力
木暮 理太郎
「蝋人形」1934(昭和9)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,956 字 · 8 页
けれども私にはいつも直径三尺位にしか想えなかった。自分が動くと物の影も動くので、自分の姿が映ったものと直ぐ判断される。三人居れば三人とも姿は映るが、面白いことには誰の目にも自分だけがいつも虹の中央に居るように見えることである。昔の人は自分の影が映っているとは夢にも知らなかったであろうから、稀に之を見た者は仏様が出現したものと信じて、随喜の涙を流したものと思われる。然しこの現象は昔も今もそう度々は見られないものらしい。私も四十年来山登りを続けているが、僅に朝二度夕方三度と合せて五度しか見たことはないのである。
(昭和九、七『蝋人形』)