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やまぶきのはな
山吹の花
豊島 与志雄
「群像」1953(昭和28)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,727 字 · 22 页
邪推をすれば、むしろあたしの方に気がおありなさるようにも、取れるじゃありませんか。
B男――田宮君にくっついていられると、きっと不幸な目に逢いますよ。彼は性格的に、ひとを愛することは出来ません。もし愛するとしても、自分自身をしか愛しはしません。それに、あなたのように、ただ向う見ずで一徹なだけで、センスの乏しいひとは、田宮君との仲が長続きはしませんよ。
C女――田宮さんはこないだ、晴子さんのことをたいへん誉めていらっしゃいましたよ。しとやかで、やさしくて、ほんとに女らしいひとですって。あなた、晴子さんにお逢いなすったことがありますか。あたしは晴子さんてかた存じませんけれど、でも、あのかたはひとの奥さんでしょう。ひとの奥さんを、あんなに誉めていいものでしょうか。
D女――わたくし、ただ一つ心に咎めることがございます。もうだいぶ前のことで、たった一度でしたけれど、田宮さんからキスされました。その時、田宮さんはひどく酔っていらっしゃいましたけれど、それでもわたくしの方では、心に咎めて、長い間悩みました。そして、そのことをあなたにお打ち明けしたら、気が静まるだろうと思いまして、恥をしのんで申上げることにしました。