轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
小島烏水『山岳紀行文集 日本アルプス』。同一底本的分册已合并为一书。收入:梓川の上流、上高地風景保護論、高山の雪、日本山岳景の特色、雪中富士登山記、雪の白峰、白峰山脈縦断記、谷より峰へ峰より谷へ、不尽の高根。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 页
耳を澄まして、谷間に吹き荒ぶ風の声を聞くと、その怖ろしさといったらない、初めは雷とばかり思っていた、あまり雷にしては間断なく鳴るから、不審に思って聞くと、「大井川の七日荒れ」だという、その「荒れ」が、今の風雨で初まったのだという、谷の角から谷の角へと屈折し、反響して、空気の大顫動が初まったのである、この山はいつ頃出来たのであろう、そうして何百万年もこうして寂として、いたのであろう、それが十年に一度、五年に一度、人間が入って来ると、谷間の底に潜んでいる風が、鎖を繋がれながらも、それからそれへと哮り狂って、のた打ち廻り、重い足枷を引き擦り引き擦り、大叫喚をしているのであろう、油紙の天幕の下は、朽木の体内のように脆くて、このまま人間は、生きながら屍となるのではあるまいかと、思われた。
この暴風雨がいつまでつづくか解らぬ、それよりも、差し当りこんなところに、今夜野宿が出来るか、否かが疑問である、思い切って谷へ下りようか、谷へ下りれば、この旅行の中止を意味することになる、一行は思い悩んで決し兼ねた……何だか筋骨を抜かれたように、気落がして、私も眼が重くなった。