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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
小島烏水『山岳紀行文集 日本アルプス』。同一底本的分册已合并为一书。收入:梓川の上流、上高地風景保護論、高山の雪、日本山岳景の特色、雪中富士登山記、雪の白峰、白峰山脈縦断記、谷より峰へ峰より谷へ、不尽の高根。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 页
のだが、農男は、雪に輪を取られた赭岩が、人物の格好に見えるらしい)は、名高いものであるが、甲府方面からは、富士の「豆蒔小僧」というのが見える、八十八夜を過ぎて、豆を蒔く頃になると、あの辺の農夫は、額に小手を翳して、この小僧を仰ぐものだそうな、それは小僧が二人連れ立って、一人は笠を冠り、一人は片手を挙げて、豆を蒔く形をしているので、同じく雪に輪廓を取られた岩が、そういう形に見えるのである。殊に越後には最も多い、妙高山の「農牛」は、甲斐鳳凰山(実は地蔵岳の方にあるので、牛は首を北に向け、尾の方を少し高くしている、甲府から見て、一間位の大きさに見えるそうである)と同じであるし、焼山の蝙蝠は、糸魚川方面からは、分明に見えるというし、米山に鯉があらわれると、魚が漁れないという諺もある、頸城郡の黒姫山の寝牛、同じく白鳥山の鳥など、雪の国だけあって、山と雪の関係は、何か神話の材料にでもなりそうである。友人辻本工学士に拠ると信濃越中の国境に聳えている祖父ヶ岳は、「種蒔き爺さん」が笊を持った具合に現われるので、山腹雪解の頃、偃松が先ずその形に蔓って、出る