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さんけいにいくるひとびと

山谿に生くる人々

葉山 嘉樹

――生きる為に――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,699 字 · 67 页

青空文庫

いずれにしても、その切り取りは、も少し深く山の内部へ向って、切り込まねばならなかった、とすれば、どちらにしても、その玉石めいたものは、「目の上の瘤」であった。そいつが、山と一緒に崩れて来たら、もう緑屋もその前のバラックも、てんで問題にはならないのだった。

で、下の方から切り込む前に、その断崖上の玉石に穴をつくって、軽いハッパをかけた。

ところが、この玉石奴、数百年甲羅を干して眠ってたところへ、いきなりハッパをかけられたので、ひどく驚いたものとみえて、拳骨大の涙をバラ撒いたのだった。

その一つが、またぞろ、緑屋の屋根へ落ち、御叮嚀に、屋根から天井まで打ち抜き、菓子を並べてある箱の上まで、落ちて来て、硝子板と菓子とを、グチャグチャに、一緒くたにしちまったのである。

ちょうどその直後、大山はバラック街の方に用事で出かけた帰りに、緑屋の前を通った。

「大山さん、大山さん」

と、緑屋のおかみは、勝手の方から、大山の姿を見かけると、大声で呼び止めた。

「ハイ、また水が止まりましたか」

と大山が冗談に言うと、

「水どころじゃありませんよ。これを御覧なさい。何とか徹底的に防備してもらわなけりゃ、工事を中止してもらう以外にありませんよ。