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みんざんのいんし

岷山の隠士

国枝 史郎

「大衆文芸」1926(大正15)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,095 字 · 19 页

青空文庫

3

開元十二年のことであった。

李白は出でて襄漢に遊んだ。まず南洞庭に行き、西金陵揚州に至り、さらに汝海に客となった。それから帰って雲夢に憩った。

この時彼は結婚した。妻は許相公の孫娘であった。

数年間同棲した。

さらに開元二十三年、太原方面に悠遊した。

哥舒翰などと酒を飲んだ。

また郡の元参軍などと、美妓を携えて晋祠などに遊んだ。

やがて去って斉魯へ行き、任城という所へ家を持った。孔巣父、裴政、張叔明、陶、韓準というような人と、徂徠山に集って酒を飲み、竹渓の六逸と自称したりした。

こうして天宝元年となった。

この時李白四十二歳、詩藻全く熟しきっていた。

会稽の方へ出かけて行った。

中に呉という道士がいた。

二人はひどくウマが合った。共同生活をやることにした。

東巖子に比べると呉※(「竹かんむり/均」、第3水準1-89-63)の方は、ちょっと俗物の所があった。それだけにその名は喧伝されていた。

時の皇帝は玄宗であった。

「※(「炎+りっとう」、第3水準1-14-64)中の呉※(「竹かんむり/均」、第3水準1-89-63)を見たいものだ」

こんなことを侍臣に洩らした。