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しまもり

島守

中 勘助

「犬 附島守」岩波書店、1924(大正13)年5月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,146 字 · 37 页

青空文庫

箒がなくて掃けないのでたくさん溜った。座頭虫はくわれてもくわれても別の奴が相変らず長い脚をもてあましてよいよいみたいに歩き廻る。

夢。夜なかごろ私はちょうどこの島のように大木に蔽われた大山の頂に立っていた。月か星あかりかかすかに地べたが見える。おりる路はいくつかあるがそれが人里へでるというのでもない。私はそこに淋しいとも思わずに立っていた。そしてふと上を見たら枝から枝へ無数の熊蜂の巣がかかり数万の蜂が火のつきそうな翅を立てて盛んに蝋をぬっていた。

十四日

朝。飯をすましたところへ本陣がさも一大事らしく

「鱒がとれました 鱒がとれました」

と息せききって四百めあまりのあめ鱒をさげてきた。とれたてで眼など生きてるようだ。腮から荒縄をとおされ烏天狗みたいな口をくわっとあけて鉤なりの歯を見せている。頭は焼物のように黒くてらつき、体は赤黒く光沢をおびて、美しいというよりは野趣のある魚である。切身にして味噌につける。

本陣は薪をとってゆくといって崖に倒れた朽木を浜へ落してとんとん鉈で叩いている。

午後。南が凪いで日がほこほことあたってきた。北風のこないまに浜へおりて米をとぐ。