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こうげいのみち

工芸の道

柳 宗悦

在线阅读柳 宗悦《工芸の道(こうげいのみち)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 166,103 字 · 336 页

青空文庫

寿福とかまたは康寧とか。工程は鉄に最初鑢目をつけ、銀の針金または延金を、上から叩きつつ入れる。そうして多くはこれに黒漆をかけてみがき出すのである。古きもの例外なく美しい。新作のもの黒地の見えぬまでに手込みて多くは生気をもたぬ。近代工藝のどこにも見られる通弊である。

ここに選べるものは大作である。そうして真に一雄作である。錠の巾広く、銀の巾広く、紋様の巾もまた広い。あの頑丈な扉の中央に、この偉大な錠が下される時、入るを許さざる威厳の声が聞える想いがする。立派な作、豊饒な作、こう讃えるより外はない。上部左右には四角の面相対し、合せて下部一条の円筒形に相対する。驚くべき確かな均合とその調和。就中眼を射るものは鉄に嵌められた白銀のその模様。深い黒地を背景として鮮かに浮ぶ。かくも美しい紋様は世にそう多くはない、いかに単純と力と美とがいみじくも一つに結ばれているであろう。尽きぬ魅力が私の心を誘う。ここにこそ工藝と模様との裂き得ぬ結縁が示されてある。『経国大典』に当時下官の者に銀入糸の馬鞍を禁止した旨が記してあるから、この錠も一般庶民の用品ではなかったことが推察される。