轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
林不忘『巷説享保図絵・つづれ烏羽玉』。同一底本的分册已合并为一书。收入:巷説享保図絵、つづれ烏羽玉。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 页
二人は、毎日帳場にすわって、話しこんだり、出入りの客に挨拶したりしていた。田舎びた鷹揚な、鈍重なその日その日だった。激しい江戸の生活で疲労していた若松屋惣七の神経は、恐ろしいスピイドで恢復しつつあった。
よく雨が降った。雨雲を仰ぎながら、旅人の一団が前の街道を走り去ると、それを追って、白い驟雨が刷いて過ぎた。埃をしずめて、街は銀に光った。かっとまた太陽が照りつけて、けむりのような陽炎がゆらいだ。松のあいだをゆく笠が、それ自体ひとつの生物のように、軽快にうごいて見えた。大名の行列もいくつとなく通った。具足屋に泊まったのも、すくなくなかった。そんなような、毎日だった。
若松屋惣七は、遠く離れて、いっそうお高のことを真剣に思うようになった。龍造寺主計は、久しぶりに若松屋惣七を見て、そして、惣七といっしょに来るであろうと思っていただけに、またいっそうお高のことを思うようになった。ふたりは、ときどきぼんやり考えこんで黙りこんでいることがあった。
どっちか、先に沈黙に気がついたほうが、きいた。
「おぬし、何を考えている」
「お主こそ、何を考えておった」
二人とも、お高のことを考えていたとはいわずに、