轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ほ

帆

宮本 百合子

「文芸春秋」1927(昭和2)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,973 字 · 25 页

青空文庫

これまでだって十度と会ってないんです。だから、どうも先がどんな気なんだか見当もつかない訳なんです」

藍子は黙って考えていたが、ふっと、

「じゃあ私が行って見ましょうか」

と云った。

「あなたが今いきなり背負い込むのも変なもんだろうし」

「そうですか。いや、そりゃあ実に」

尾世川は、文字通り救われた喜色で面じゅうを照り輝かせた。

「そう願えりゃそれに越したことはないですが。――かまわないですか、貴女みたいに若い御婦人の行かれるところじゃ無いんじゃないですか」

「その人を訪ねて行くんですもの平気でしょう」

藍子は、ハガキの住所と女の名を、小さい手帳に写しとった。

二

翌朝、藍子が寝床の上で目を醒した時、四辺はいつになく森としていた。

どこか、ただの静けさとちがっていた。藍子は起きて、窓の雨戸を繰り開けた。

外は雪であった。夜じゅう相当に積った上へ時々明るく雪片が舞い下りている。

三月で、近くの地面の底にも、遠くの方に見える護国寺の森の梢にも春が感じられる、そこへ柔かく降り積む白雪で、早春のすがすがしさが冷気となってたちのぼるような景色であった。

藍子は、朝飯をすますと直ぐ、合羽足駄に身をかためて家を出た。