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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

25 初めて博覧会の開かれた当時のことなど

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,264 字 · 7 页

青空文庫

ところが、またその竜紋賞が好いのか悪いのかも師匠は知らない。くれるものを貰って来たという有様であった。

当日は、私は何かの都合であったか堀田原の家に休んでおりました。日暮れ少し前頃に、私の家の表の這入り口に地主の岡田というのがあって、その次男が私の宅へ飛び込んで来て、突如に、

「高村さん、あなたはえらいことをやったね」

と頓狂な声でいいますので、私はびっくりして、

「何を私がやったんです……」

と訳が分らんからいいますと、

「何をやったって、大したことをやったじゃありませんか。君の観音は竜紋賞を得たのですよ」

「そうですか。その竜紋賞というのはどういう賞なのですね」

など、私はさすがに自分のことの話であるから聞いたりする。岡田の次男は予てから、隣りずからのことで、私が白衣観音を製作していたことなどを知っており、師匠の代をやっていた種を知っていることだから、私の手柄のように褒めそやしている。そして、今日の新聞に(今の号外のようなもの)その事が載っているが、賞牌の一番が竜紋賞で、二番目が鳳紋賞、三番目が花紋賞というのです。君の観音は一番の賞牌ですよ、など物語る。私は岡田のいうことばかりでは信がおけないから、やがて蔵前へ出掛けて行くと、師匠は帰っておられた。