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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

32 本所五ツ目の羅漢寺のこと

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,583 字 · 4 页

青空文庫

日が暮れると、またテクテクとやって家へ帰る。他に便利な乗り物がないから、弟子も師匠も、小僧も旦那も、それだけは一切平等でありました。

右の如く、羅漢寺は名刹でありましたが、多年の風霜のために、大破損を致している。さりながら、時代は前に述べた通り、仏さまに対しては手酷しくやられたものであるから、さながらに仏法地に堕つるという感がありました。で、このお寺を維持保存するなどは容易のことではない。部分的にちょっとした修繕をするということさえむずかしい。彼の百観音を納めてある蠑螺堂のある場所を、神葬祭場にするという評判さえあって、この霊場の運命も段々心細くなるばかり……その中、とうとう蠑螺堂は取り毀すことになって、壊し屋に売ってしまいました。

ところが、この売るということが、お話しのほかで、買い手もないといった頃、その頃の堂々たる大名、旗本の家屋敷、あるいは豪商大家の寮とか別荘とかいうものでも、いざ、売り払うとなると二束三文、貰ってもしようがないと貰い手もない時節であるから、この蠑螺堂を、壊し屋が買った値段も想像されます。とにかく、その建築物の骨をば商売人が買ったが、その中に百観音が納まっている、さあ、この観音様の処分をどうしましたか。