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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
05 その頃の床屋と湯屋のはなし
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 861 字 · 2 页
夜分は土間から、一本の木製の明り台が立っていて燈心の火が細く点されていた。でも、結構、それで仕事は出来たもの。すべて何店によらず、小さな行燈一つを店先に置いて、それで店の人の顔も見えれば、書き附けの字も見えたものだ。明るさにおいても、ちっとも今とは違いはしなかった。燈火が明るくなればなるほど、人間の眼が暗くなるので、昔はそれでよかったものです。
湯屋では、八ケンというものが男湯と女湯との真ん中に点いていた。柘榴口を潜って這入るのです。……柘榴口というのは、妙な言葉だが、昔から、鏡磨ぎ師は柘榴の実を使用ったもの、古い絵草子などにも鏡研ぎの側には柘榴の実がよく描いてある……でその名の意は、屈み入る(鏡入る)の洒落から来たもの、……むかしはすべてこう雅なことをいったものです。
床屋は大人が三十二文、子供は二十四文、湯屋は八文であった。