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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
35 実物写生ということのはなし
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,117 字 · 4 页
なったのであります。すなわち、私自身としては自分の製作の態度や方法を一変して新しくやって見ようという心を起したのであります。
そこで、まず差し当っては、何をその研究の資料にするかというと、従来のお手本とは全く違った方面のもので、たとえば、西洋から輸入して来たいろいろの摺り物、外字新聞の挿画のようなものや、広告類の色摺りの石版画とか、またはちょっとした鉛筆画のようなもの、そういうものが外人との交際の頻繁になるにつれて所在にそれがある。それを、いろいろの機会に見附け次第、買ったり借覧したりして見ると、どうも私の脳がそれに惹き附けられ、また動いて来る。というのは、在来の彫刻の手本にした絵とか彫刻の手本とかいうものとはよほど異なった行き方であって、動物でも、草木、花、物品、すべてのものが真に迫って実物に近い。それはほとんど実物そっくりといってもよろしい。犬一匹描いてあってもどう見ても本物である。特にその毛並みのやり方が目に立って旨く出来ている。従来の彫刻の方でやる毛の彫り方は、まるで引ッ掻いたように毛が生えているという心持だけを肉の上へ持って行って現わすのであるが、西洋の絵は、毛は毛で、皮膚の上へムックリとして被いかぶさり、長い処、短い処、渦を巻いている処、波状になった処、撥ねた処、ぴったりと引っ附いた処と、その