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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

59 矮鶏の作が計らず展覧会に出品されたいきさつ

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,610 字 · 6 页

青空文庫

まだ年も若し、虫のいどころでも悪かったか、何んだか心外なような気がしましたから、私はこう答えたのでした。

「私の出品しませんのは、怠けていて作が出来なかったというのではありません。年に一度の展覧会のことですから、出したいのは山々ですが、出す作がありませんのです。なまけてもいないに出す作がないというと、やはりなまけていたとお思いになるかも知れませんが、私は拠所ないことで人から頼まれたものをやっているのです」

という話から、行き掛かり上、若井兼三郎氏の依嘱によって矮鶏を彫っていて既に二年越しにわたっていることを私は話し、怠けていないことの証拠を挙げました。

その席には山本氏、岸氏など幹部の人々がおられましたが、右の話を聞くと、

「それは、どうも、そういう仕事をやっておられたのですか。君が矮鶏を拵えたと聞くと、これはどうも拝見しないわけには行かん。一つその新作を見せて頂こう」

ということになりました。

私の、証拠を挙げて申し開いた以上、証拠物件を望まれて見せないわけに行きませんから……また私としてもこれらの幹部の識者の批判を受けることは望ましくないことでありませんから、まだ脚の方のつなぎを切ったりしない九分通り出来ている矮鶏の作を次の日の集まりの席へ持って行きました。