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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,640 字 · 15 页

青空文庫

ました。

段々と仕事の進むにつれて、大仏の頭部になって来ましたが、大仏の例の螺髪になると、ちょっと困りました。俗に金平糖というポツポツの頭髪でありますが、これをどうやって好いか、丸太を使った日には重くなって仕事が栄えず、板ではしようもない。そこで、考えて、神田の亀井町には竹笊を拵える家が並んでおりますから、其所へ行って唐人笊を幾十個か買い込みました。が、螺髪の大きい部分はそれがちょうどはまりますけれども、額際とか、揉み上げのようなところは金平糖が小さいので、それは別に頃合いの笊を注文して、頭へ一つ一つ釘で打ち附けて行ったものです。仏さまの頭へ笊を植えるなどは甚だ滑稽でありますが、これならば漆喰の噛り附きもよく、案としては名案でありました。

「やあ、大仏様の頭に笊が乗っかった」

などと、群衆は寄ってたかって物珍しくわいわいいっております。突然にこんな大きなものが出来出したので、出来上がらない前から人々は驚いているという有様でありました。

或る日、私は、遠見からこれを見て、一体どんな容子に見えるものだろうと思いましたので、上野の山へ行って見ました。ちょうど、今の西郷さんのある処が山王山で、其所から見渡すと、右へ筋違いにその大仏が見えました。