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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,640 字 · 15 页

青空文庫

降りて来ると胴体の広い場所に珍奇な道具などを並べ、それに因縁を附け、何かおもしろい趣向にして見せる。この前笑覧会というものがあって阿波の鳴戸のお弓の涙だなんて壜に水を入れたものを見せるなどは気が利かない。もっと、面白いことをして見せるのです……」

「……そうして切の舞台に閻魔さまでも躍らして地獄もこの頃はひまだという有様でも見せるかな……なるほど、これは面白そうだ」

「大仏が小屋の代りになる処が第一面白い。それで中身が使えるとは一挙両得だ。これは発明だ」

など高橋氏や田中氏は大変おもしろがっている。ところが野見氏は黙っていて何ともいいません。考えていました。

「野見さん。どうです。高村さんのこの大仏という趣向は……名案じゃありませんか」

高橋氏がいいますと、

「そうですな。趣向は至極賛成です。だが、いよいよやるとなると、問題は金ですね、金銭次第だ。親父に一つ話して見ましょう」

野見氏は無口の人で多くを語りませんが、肚では他の人よりも乗り気になっているらしい。私は、当座の思い附きで笑談半分に妙なことをいいましたが、もし、これが実行された暁、相当見物を惹いて商売になればよし、そうでもなかった日には飛んだ迷惑を人にかけることになると心配にもなりました。