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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

78 谷中時代の弟子のこと

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,224 字 · 16 页

青空文庫

てんで無感覚であります。これを見て私は思ったことですが、いかに何んでも、お互いに物の形を彫ることを職業としている身でありながら、自分たちからは異った材料でやっている仕事の工合は一体どんなものだろう。木彫をやってる彼の人たちの、腕を一つ見てみよう位の気は起りそうなもの、こっちでは随分毎日仕事の合間に石屋のこつこつ叩いている処を見て、もうあの獅子の頭が見えて来た、狐の尻尾があらわれたと、形の如何はとにかく、段々と物の形の現われて来るのを楽しみにする位にして見てもいるのに、石屋の職人たちの気のなさ加減にもほどがあると、余計なことですが、私はそう思いました。そう思うにつけて、何かこちらでも石を彫って見たい気持になる。石というものも彫れば我々にも彫れるものか――彫って見れば彫れぬこともあるまい。彫れば、まさかにあんな形を平気でやりもしない。どうせ、物を彫るものなら、もう少し、石であっても物の形を研究すれば好いのに、あれでは石の材料が可哀そう……一つ石を彫って、もっと物らしい物をこしらえて見たい……というような物数寄な気が起るのでありました。

それで、或る時、毎度話に出ました例の馬の後藤貞行さんに逢った時、私がこの話をして見ると、後藤さんも至極同感で、いろいろ話の末に、同氏のいうには、「私の知人の軍人の知り人に北条