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ひらがたけとうはんき

平ヶ岳登攀記

高頭 仁兵衛

「山岳 一〇の三」1916(大正5)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,907 字 · 27 页

青空文庫

極点であって、簾と格子を越して美人を望むの観がある、何分にも熊笹が八、九尺以上もあって群立しているから、三間も距ると音ばっかりしていて人影を見ることが出来ない、間もなく樹竹の絶えた小平坦に出た、陸地測量部の三角点の礎石があった、ここは観測の折に樹竹を刈り取ったらしい、時刻は午後の三時である、また熊笹や密林の中を潜ったり蹈み分けたりして行くと、七時に熊笹と樹木が全く絶えた芝生となって、これに点綴している植物や幾多の小池や残雪やが高山性となって、眼界も俄に開けて※画的の大観が現出して来た、ここはもう平ヶ岳の一頂であって越後と上野を限っている山稜である、小池の傍に野営した。

翌十八日の五時に日輪が出た、六時十分に絶頂を指して登りはじめた、平坦な芝生に多くは小池があって、矮小な灌木や熊笹の繁茂している所がままあるが、展望を妨げるようなことは少しもない、間もなく偃月形をなしているかなりの大残雪を蹈んで、七時五分に絶巓の三角点址に達した、絶巓は渺々たる曠野であって一帯の芝生に、小池が所々にあって無数の南京小桜が池を廻って※娜として可憐を極めている、この曠野は三角点附近を最高点としていて、緩慢な傾斜をなして北方に低下しているが、絶頂に特に隆起した