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へいげんのきととり
平原の木と鳥
小川 未明
「黒色戦線 第2次」1931(昭和6)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,473 字 · 7 页
ああ、あちらの町がうらめしい!」
母鳥は、うつぎの木の枝から、枝を飛んで、小さな胸のうらみにこらえかねていました。
「なぜ、お母さん、私たちも、人間の手のとどかない、大空高く舞い上がって鳴かないのです?」と、子供たちが、たずねると、
「それは、勇気のある鳥のすることですか。」と、母鳥は、しかるごとくいったので、子供たちは、くびをすくめて、だまってしまいました。
子供たちは、毎日、あちらの高いかしの木の方をながめていました。
「あすこまで、どれほどあるだろう?」
それは、たいへんに遠いようにも思われました。あるときは、その木のいただきの空に、星がぴかぴかと輝いて見えました。また、あるときは、あちらの空に電光がして、雷が鳴り、しばらくすると、黒い雲が野原の上に垂れ下がって、雨風が襲い、あの木をもみにもんだのです。すると枝についている、すべての葉が白い裏をかえして、ふるいたつかと見る間に、雲の中にかくれてしまったこともあります。そのとき、
「あの木は、どうかならなかったろうか。」と、心配するほどのこともなく、また、たちまち、けろりと晴れた、水色の空の下に、なつかしい木は、こんもりとして、昔のままの姿で立っていたのでした。