轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

長崎ものがたり

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,367 字 · 36 页

青空文庫

陳さんが朱房のついた匕首を振上げて、喰いつくような顔付で襖のすぐ傍に仁王立ちになッているンです。……あたし、あッと驚いて、逃げ出そうとすると、追かけて来て、いきなり後からこんな酷いことを……」

「何か恨みを受ける覚えでもあるのか」

もう精が尽き果てたのか、見る見るうちに顔が真ッ白になって、小網町、廻船問屋、港屋太蔵の妻、鳥と答えるのがようよう。後は何を訊いても頷くばかりだった。そのうちに手足に痙攣が来て、吃逆をするような真似をひとつすると、それで縡れてしまった。

乙平が番屋へ訴え出、番屋から北番所へ。

時を移さず、与力小泉忠蔵以下、控同心神田権太夫。それからお馴染のお手付御用聞、土州屋伝兵衛、引連れて出役。

手を尽して調べて見たが、格別乙平の訴えより変ったところもない。陳東海はお鳥を突刺して置いて自分は勝手口から飛出して行ったものらしい。その形跡ははッきりと残っている。もう一つは手口が少しちがう。日本人なら突ッ通すか刳るか、この二つのうちだが、傷口を見ると、遠くからでも匕首を打込んだような、しゃくッたようなようすになっている。

殺された当人がはッきりと陳東海だと言ったのだから、これ程確かなことはないわけで、その日の夜遅く、同じく唐通詞で八官町に住んでいる林明斎の宅へ立廻ったところを難なく捕縛された。