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ねんぷ

年譜

宮本 百合子

「現代文学全集 第五十六巻」改造社(1931年までの年譜)、1931(昭和6)年3月、「宮本百合子研究」津人書房、1948(昭和23)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,820 字 · 36 页

青空文庫

作品を発表されなくなったことは、私の経済的安定を失わせたし、精神的にも打撃であった。私は落ちつかなく毎日を送った。夏頃、健康が悪くなって寝汗をかき、微熱を出した。獄中で結核にかかり、一時重患におち入ったことのある宮本は、私の健康回復法としてきびしい規律的生活のプログラムを与えた。そのプログラムには、夜十時就寝、一日三回の検温、正しい食事、毎日午前中に巣鴨拘置所へ面会にくること、などが含まれていた。これを三ヵ月ほど実行している中に、微熱は出なくなった。十二月に盲腸炎を起し、慶大病院で手術した。

一九三九年(昭和十四年)

三月。〔一〕昨年末の作品発表禁止がとけそうな気配があるといって文芸春秋が小説を依頼した。丁度宮本の弟が中国に出征させられたときであった。私は「その年」という小説を書いた。文芸春秋社で内閲に出した。そしたら各行毎に赤線が引かれて戻ってきた。線のひかれないところは「である筈だのに」とか「そうしている中に」とかいう文章でこれは纏まった言葉とも云えない。編輯者も私も苦笑してその原稿を保留した。六月頃、文芸春秋に「からたち」随筆四、五枚を書いた。