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こうふくのけんせつ
幸福の建設
宮本 百合子
婦人民主クラブ主催講演会の速記原稿、1946(昭和21)年4月8日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,347 字 · 30 页
お頭にはお頭を差上げて、切身の尻尾の方は主婦がもらう。ところがこの頃のように尻尾のない場合もある。そうすると女の人は一切も食わずにがまんする。それを皆さんはお笑いになるから、恐らくあなた方の御家庭では、切身が三つしかないものでも半分ずつつけて召上っていらっしゃるのかと思います。それは大へん結構だと思いますけれども、よく女の方が一軒の家庭の話をなさいますと、「一切のお魚しかないものならばみなが食べるようにして暮したいわ」とおっしゃいます。それは何でしょうか。それは女の方は辛抱強いということなのです。旦那さんより奥さんの方が遠慮して三歩でも半歩でも後ろの方に引込んで歩くもの、そのような気分が往来を並んで歩いていても何かあなたのなかにあるのではないでしょうか。そういう身分の差別が夫と妻の間にあるばかりでなく、お嫁さんと姑さんの間にも、やはり日本の半ば進歩し半ば封建的であるという関係がよく現われていると思います。皆さんどういう御経験があるか知らないけれども、お嫁さんと姑の関係は、お互い同士悪い人達でなくても非常にこじれるのです。それはなぜかと申しますと、女の方は家庭が仕事でございますので広い社会的な生活をいたしませんから、お婆さんは何十年となく漬物を漬けているから、菜葉はこれ位の塩をつけたらまず食べられるという