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おさなきころのおもいで

幼き頃の想い出

上村 松園

「塔影」1933(昭和8)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,182 字 · 5 页

青空文庫

そうして屡※(二の字点、1-2-22)私から母にせがんで、菊安へ買い求めに行って貰ったものでございます。その中には有名な「北斎漫画」などもございましたが、その時代のことですから、非常な廉価で買い得られたわけで、何しろ小銭をちょっとひと握りして行けば、そうした古書を一束抱えて帰ることが出来たほどですから、実に安価だったわけでございます。

馬琴と北斎の想い出

何分にも少女時代のことですから、馬琴が何か、北斎が何か、確実な理解も持たずに、享楽し、且つ執着して居たわけでございますが、後年成長して馬琴と北斎との※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)絵に絡まるエピソードを知るようになって、一層私は少女時代の絵本類に懐かしい追憶を昂めました。

今更私が解き出すまでもありませんが、それは恰度「新編水滸伝」の※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)絵の時の出来事でございます。※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)絵家の北斎に対して、著者の馬琴があまり神経質にいろんな執筆上の注文を頻発するものですから、自我の強い北斎は到頭爆発してしまい、断然※(「插」