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ゆうれいせんのひみつ
幽霊船の秘密
海野 十三
不詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,846 字 · 62 页
この器械の発明されない昔は、必ず無電技士が一人は夜ぴて起きていて、救難信号がきこえはしないかと番をしていなければならなかったのである。今は器械ができたおかげで、ずいぶん楽になったわけである。
「じゃあ局長、警急受信機の方へ切りかえることにいたします」
「ああ、そうしたまえ。僕も、すこし睡くなったよ」
丸尾は、配電盤にむかって、一つ一つスイッチを切ったり入れたりしていった。間違えてはたいへんなことになる。
彼は、念には念を入れたつもりであった。さらに念を入れるため、古谷局長の検閲を乞おうとして、局長の方をふりかえった。そのとき局長は、本の頁をひらいたまま籐椅子のうえで気持よさそうに早や睡っていた。睡っているのを起すまでもないと思い、丸尾はそのままスイッチの切りかえを完了したものだった。
ところが丸尾が机のうえを片づけにかかっていると、急にけたたましく電鈴が鳴りだした。
スイッチを切りかえてから、ものの五分とたたない。
遭難船からのSOSだ!
局長は、電気にかかったように籐椅子からはね起きた。
救難信号
「あっ、SOSだ」
局長は、そう叫んだかとおもうと、すぐにもう器械のところへ来ていた。