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いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
久坂葉子『幾度目かの最期』。同一底本的分册已合并为一书。收入:幾度目かの最期、女、鋏と布と型、四年のあいだのこと。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,103 字 · 121 页
私は、神戸新聞に、原稿料をもらっていないことに気附きました。で、いつもゆくレコード屋へ行って、電話をかけ、とりにゆくことをあらかじめ通知しました。さて、そのレコード屋で、その主人に会った時、彼は、私の昔の恋人です。それは、小母様、知ってらしたわね。ミローの歌曲をかわないかとすすめられました。度々そこできいていて、私、買うと云っていたものです。私は、青白き大佐にあげてもよいと思いました。そして、がんじょうに一枚のレコードをつつんでもらい、三百円とわずか、はらいました。ところへ、面白い酒場の主人がふらりとやって来て、一しょにコーヒーをのみにゆくことにしたのです。十分間ばかり絵の話など致しました。偶然そんななつかしい人と出くわすのは、たのしい気持でした。彼と別れてから、市電にのり、新聞社へゆく迄に、小さいふるぼけた宝石屋へ寄りました。今度こそ、手ばなしてしまえと思ったのです。私は四千円で、指輪をうるといいました。その店では、真珠は駄目だったのです。主人は、たん念にしらべます。私は、時間がないから早くとせかせました。主人は買うと云いました。十五分もかかってからでしょうか。